
全日制高校に比べて自由な時間と学習環境が特徴の通信制高校。現在、通信制高校に通う生徒数は増加傾向で、2024年度には29万87人となり、高校生の約11人に1人が通信制高校に通っている計算で、これは過去最高人数です。そんな通信制高校について詳しくは知らないという人も多いのではないでしょうか。この記事では、通信制高校とはどんな学校なのか、全日制・定時制との違いから、単位制と学年制の違い、通信制高校の選び方まで、わかりやすく解説していきます。
通信制高校とは“通信(オンラインや郵送)による教育を行う”高校
自分のペースで学習を進めることができる
通信制高校とは、学校教育法に基づき、通信(オンラインや郵送)を主として、自宅など場所を選ばずに自主学習を進め、単位を修得していく高等学校のことです。パソコンやタブレットなどを使用し、いつでもどこでも自分のペースで学習を進めることができるため、全日制・定時制とは異なる学習方法となっています。
全日制高校と同じ高校卒業資格が取得できる
通信制高校を卒業時に得られる「高校卒業資格」は、全日制高校と同じものとなります。学習制度は、全日制・定時制の「学年制」とは異なり、3年間で卒業に必要な単位を修得していく「単位制」です。各科目ごとに、レポート提出(添削指導)やスクーリング(面接指導)などで、単位を修得していきます。
様々な分野の通信制高校がある
通信制高校は、大きく分けて公立と私立があります。また、専門分野に特化したコースやキャリアプランニングに力を入れた学校など、特色の強い学校も多種多様。どの通信制高校も、全日制高校と異なり毎日登校する必要はありませんが、登校日数は学校や専攻するコースなどにより大きく差があります。専門分野を学ぶ学校などは、技術実習のために登校日数が多い傾向があります。自分に合った通信制高校の選び方は後ほど解説しますが、まずは様々な通信制高校があることを頭に入れておきましょう。
通信制高校と全日制・定時制との違い
まずは基本的な全日制高校・定時制高校との違いを見ていきましょう。日本の高校には、全日制・定時制・通信制の3つの教育課程があります。全日制と定時制には、授業を受ける時間帯と授業の長さという違いがありますが、この記事では通信制高校を詳しく取り上げていますので、全日制と定時制は一括りにして比較表にまとめました。

それぞれの項目の全日制・定時制との違いについて、以下で詳しく解説していきます。
全日制・定時制との違い①「登校頻度」
通信制高校は、週5日登校する全日制・定時制高校とは登校頻度が異なります。また、学校・コースによっても大きく異なります。なお、いっさい登校しなくても卒業できる通信制高校はありません。
通信制高校は年3日〜週5日
通信制高校の登校日数は、高校学習指導要領で定められた学習量の基準に準じながら、様々な登校パターンを選べるようになっています。学習量は全日制・定時制に比べてゆるやかですが、登校日数は学校・コースによって大きく異なり、年3日〜週5日と幅があります。また、定期的な登校はなく、年に1回1週間など、一定期間の合宿で授業を受ける集中スクーリングを設けている通信制高校もあります。
公立と私立でも登校日数は大きく異なります。公立通信制高校の場合、最低2週間に1回の登校が必要です。私立通信制高校の場合、学校法人ではなく株式会社が運営することも許可されているため、より自由で専門的な教育を提供している学校が多く、登校日数は非常に幅広いです。週5日登校の学校から、1年でわずか3~5回のみ登校の学校もあります。
全日制・定時制高校は週5日
全日制・定時制高校はともに週5日、平日に登校するのが一般的です。全日制高校は、基本的に朝から夕方まで、1日5~8時間程度の授業を受けます。定時制高校は、夜間制・昼間二部制・三部制などがあり、夜間もしくは昼間に登校し、1日4時間程度の授業を受けます。全日制より授業時間が短いのが特徴です。

全日制・定時制との違い②「学習方法」
通信制高校は、全日制・定時制高校と学習方法が大きく異なることが特徴です。おおまかには、通信制は自主学習が基本、全日制・定時制高校は対面授業が基本となりますが、通信制高校によっては、対面授業の多い学校もありますので、詳しく解説していきます。
通信制高校はオンライン授業など通信教育での自主学習が中心
通信制高校での学習方法は、自主学習が基本です。主にオンライン授業や、オンラインで提供される教材を読み、レポートを作成して提出し、教師の添削指導を通して理解を深めます。パソコンやタブレットなど使用し、場所や時間を選ばず、自分のペースで進めることができます。
ただし、学校によっては、文字通り「通信(オンラインや郵送)」による自主学習がほとんどというわけではありません。登校頻度の部分でふれたように、専門的な教育を提供している通信制高校では、技術実習のために登校日数が多い傾向があり、全日制・定時制と同じように対面での授業が設けられています。専門科目によっては、実習や演習、発表会、オーディション参加など、実践的な授業が組まれており、毎日登校する学校もあります。なお、そのような専門的な通信制高校も、普通科目においてはオンラインによる自主学習が多めです。学校やコースによって様々ですので、気になった通信制高校があれば資料請求やお問い合わせをしてみましょう。
全日制・定時制高校は教室で一斉に行う教師との対面授業が中心
全日制高校における学習方法は、教室で一斉に行う教師との対面授業が基本です。宿題や復習、テスト勉強などは自宅での自主学習となります。授業を受ける科目は、学校や生徒の進路希望などによって異なります。

全日制・定時制との違い③「学習制度」
通信制高校は「単位制」、全日制高校・定時制高校は「学年制」となっています。どちらの学習制度の場合も、学校教育法によって定められている「必須項目を含む74単位以上」を修得すれば、卒業時に得られる「高校卒業資格」は同じです。何が違うかというと、単位の修得方法です。どのように違うのか解説していきます。
通信制高校は「単位制」
単位修得方法
通信制高校は、3年間で卒業に必要な単位を修得していく「単位制」です。その年に修得したい科目を決めて学校に申請し、各科目ごとに、レポート提出(添削指導)、スクーリング(面接指導)、そして試験の3つの要素をクリアする必要があります。
レポート提出は、各科目のテキストや教材を参考に、課題として出されたレポートを作成し、学校に提出します。レポートの提出回数や形式は、学校や科目によって異なります。
スクーリングは、いわゆる「登校」のことです。普段は自宅学習でもスクーリングの日は学校へ行き、対面で授業や面接指導を受けます。スクーリングの頻度も学校によって異なります。週に何回か通う学校もあれば、年数回だけの登校、または合宿形式の集中スクーリングでまとめて行う学校もあります。
試験は、レポート提出とスクーリングをクリアした後に受ける試験です。レポートの内容を理解していれば対応できるレベルで、スクーリング時に試験を行う学校もあります。試験に受かることで、その科目の単位が認定されます。
イラストやeスポーツなど、専門分野に特化したコースを設けた通信制高校では、独自の専門科目も単位認定されます。好きなこと・やりたいことを学びながら高校卒業資格の取得を目指せるのは、通信制高校の特徴であり魅力です。
単位制は留年がない
通信制高校の単位制では、基本的に留年という概念はありません。選択した科目の単位を修得できなくても、次の学年に再度履修すれば良いので、進級や卒業に影響はありません。ただし、卒業までには、必要な単位数を修得する必要があります。自分のペースで学習を進めることができる反面、単位修得のための学習の管理が必要です。
単位制では、選択した科目が修得できなかった場合も、その科目を次年度に履修すればよいため、学年や進級には影響がなく、留年はありません。しかし、3年間で卒業に必要な単位を修得できなかった場合は、高校卒業資格取得のために追加の在籍期間が必要になる場合があります。逆に、学習時間がなかなか割けない人は、最初から4年以上で卒業する形を選ぶこともできます。
なお、全日制・定時制の学年制では、学年途中からの編入・転入が難しい場合がありますが、通信制高校は中学校卒業以上であれば入学に年齢制限はなく、いつでも転入学・編入学可能な学校が多いです。中学校卒業後の一般的な4月の入学のほか、現在高校に通っている人も高校を退学した人も、転入学・編入学できます。また、転入・編入の時期にもよりますが、基本的に以前の学校で修得した単位を引き継ぐことができます。これらは単位制のメリットと言えます。
全日制・定時制は「学年制」
単位修得方法
全日制高校・定時制高校は、各学年ごとに修得すべき単位数が決まっている「学年制」です。1年間で定められている科目の単位をすべて修得しないと、次の学年に進級できません。単位を修得するには、学校に週5日毎日通い、時間割通りに授業を受け、レポートやテストで成績を評価してもらいます。1年間で修得すべき単位の種類と数は、学校ごとに定められており、決められた通りに学習して一定の成績をキープすれば卒業できるため、単位修得のための学習の管理が不要な点は、学年制のメリットと言えます。
学年制は留年がある
全日制高校・定時制高校の学年制には、留年(原級留置)があります。学年制は1学年ごとに修得すべき単位の種類と数が決められており、その1年間で定められた単位を修得できないと留年となり、進級できずにその学年の学習をもう一度すべてやり直す必要があります。たったひとつの単位を修得できなかっただけで、もう1年間長く高校に通わなくてはなりません。スポーツ選手や芸能活動で忙しい人、不登校気味の人など、毎日登校および留年がきびしいことが、通信制高校を選ぶ理由になっている人もいます。
通信制高校の選び方
登校頻度で選ぶ
働きながら高卒資格取得を目指す人、スポーツや芸能活動など学業以外の活動に専念したい人、発達障害や不登校など、頻繁な登校が難しい人は、登校頻度が重要になってくると思います。時間の確保が難しい人は、オンライン学習がメインで年に数回登校するスタイルや、週1〜2回登校するスタイルが向いています。
学力や自主学習に自信のない人、専門科目を学びたいという人は、毎日登校や週3〜4回登校するスタイルが向いています。対面で教師に質問・相談できる機会が多いため、やる気がある人ほど成長も早いです。
学べる内容で選ぶ
通信制高校は、一般的な普通科の他に、専門的なスキルや知識を学ぶための様々な分野の学校があります。芸術、美容、調理、IT、情報処理、看護、福祉など、学校の特色によって専門コースの種類は非常に多種多様です。好きなこと・やりたいことがある人は、興味のある専門コースが設けられた学校を選ぶとよいでしょう。
専門的な学びを提供している多くの通信制高校では、プロの講師を招いたり、プロ仕様の設備を完備したり、専門学校と同じような学習環境を用意しています。高校生という若いうちに、専門的なスキルや知識を身につけられることは、大きな武器となります。専門学校より3年も早くスタートを切ることができるのは、やりたいことがある人にとって大きなメリットです。
サポート体制で選ぶ
通信制高校は単位制のため、自分のペースで学習できるぶん、単位修得のための勉強を自分で管理する必要があります。単位修得のための学習の管理や学力不振、進学、就職などの不安が多い人は、個別の指導・サポートが充実した学校を選ぶとよいでしょう。一般的に、公立よりも私立のほうが手厚いサポート体制が整っています。学校にもよりますが、自分の意志で自主学習ができる人は、自由な時間の多い公立、悩みを相談しながら教師や仲間と学んでいきたい人は、私立が向いています。
通信制高校の選び方を3つ紹介しましたが、何を重視するかは人それぞれだと思います。なお、年々通信制高校に通う生徒数が増加している理由は、多様な背景や価値観を持つ人々を受け入れ尊重する多様性を重視する時代になったことや、オンライン学習の普及などが挙げられます。
通信制高校のコースや授業内容は学校により非常に多種多様で、専門分野を学べるほか、美容師などの国家資格を取得できる学校もあります。“なんらかの理由で全日制高校に行けない人や苦学生が多い”は過去のイメージで、現在は自由度の高い学習環境で、好きなことを学べる場所として、注目を集めています。

おすすめの通信制高校「芸高グループ」
好きなこと・やりたいことがある人は、専門性に特化した芸術コースを設けている「芸高グループ」がおすすめです。
卒業後や将来を見据えた学習環境・授業内容は、非常に実践的で、不登校から夢を掴んだ生徒も多く、学習面のほか、進学・就職の両方に対応した進路サポートも充実しています。
実際に芸高グループで学び、夢を掴んだ先輩の声
💬 中学生の頃は不登校、卒業後はアニメーターに
>【卒業生インタビュー:Yさん】大手アニメ制作会社に18歳で入社!就職活動や仕事について教えて!
💬 中学生の頃は不登校、卒業後は人気声優養成所に入所
> 声優コースではどんなことが学べるの?授業について教えて!(愛知芸術高等専修学校編) オーディションや進路についても聞いてみた
💬 3年間で飛躍的に画力を伸ばし、卒業後はイラストレーターに
>【卒業生インタビュー:Kさん】3年間の作品成長と卒業後の進路に迫る!(愛知芸術高等専修学校 マンガ・イラストコース編)
💬 練習の積み重ねで、卒業後はダンサー/ダンスインストラクターに
>【卒業生インタビュー:Mさん】『アメリカズ・ゴッド・タレント』に出演など、現在は世界を股にかけるダンサーに!進路活動や仕事について教えて!
💬 卒業後は前代未聞の18歳でスタイリストデビュー
> 美容師コースではどんなことが学べるの?授業について教えて!(横浜芸術高等専修学校編)
芸高グループの特徴である「芸術コース」
芸高グループでは各キャンパスごとに、専門性に特化した「芸術コース」を設けており、プロ仕様の充実の施設・設備のなか、現役のプロ講師の指導による実践授業を行なっています。
<コース一例> ※北海道芸術高等学校/札幌サテライトキャンパスの場合
マンガ・イラストコース
声優コース
ファッション・ビューティーコース
美容師コース
ミュージックコース
ダンス&ボーカルコース
専門的な技術・知識を学ぶため登校日は多めで、基本的には週5日のうち4日登校してコース別の芸術科目を中心に学び、うち1日は普通科目をオンラインで効率的に学び、好きなこと・やりたいことに多くの時間を使える学習スタイルとなっています。芸術科目の専門的な実習が多いぶん、確かなスキル・知識を身につけることができます。
芸高グループのキャンパス
芸高グループは、学校法人恭敬学園が運営する北海道芸術高等学校をはじめとする、以下5つの学校(6つのキャンパス)で構成されています。
<芸高グループ>
北海道芸術高等学校
札幌サテライトキャンパス
東京池袋サテライトキャンパス
福岡芸術高等学校
東北芸術高等専修学校
横浜芸術高等専修学校
愛知芸術高等専修学校
6つのキャンパスのうち3つに関しては高等専修学校ですが、北海道芸術高等学校(通信制高校)とのダブルスクール制度を採用することで、全日制と同様の高校卒業資格の取得も可能となっています。そのため、大学や専門学校への進学、養成所所属や就職まで、進路の選択肢も大きく広がっています。
好きなことだからがんばれる、一緒に歩んでくれる先生や仲間がいる。
芸高グループは、一人ひとりの個性や夢を応援してくれる場所です。
参照:北海道芸術高等学校 https://www.kyokei.ac.jp/
※本サイトは、芸高グループの生徒や先生にインタビューを行う機会をいただき、独自取材の記事で芸高グループを応援する個人運営サイトです。
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