【卒業生インタビュー:Kさん】3年間の作品成長と卒業後の進路に迫る!(愛知芸術高等専修学校 マンガ・イラストコース編)

3年次に作成したアニメーション「牛若丸」
3年次に作成したアニメーション「牛若丸」
3年次のデジタルイラスト作品
3年次のデジタルイラスト作品
2年次のデッサン「アインシュタインの模写」
2年次のデッサン「アインシュタインの模写」
2年次のデジタルイラスト作品
2年次のデジタルイラスト作品
2年次のコンテスト応募作品「バス銭湯」
2年次のコンテスト応募作品「バス銭湯」
愛芸に在学中だった頃のKさん
愛芸に在学中だった頃のKさん
3年次に作成したアニメーション「牛若丸」
3年次のデジタルイラスト作品
2年次のデッサン「アインシュタインの模写」
2年次のデジタルイラスト作品
2年次のコンテスト応募作品「バス銭湯」
愛芸に在学中だった頃のKさん

Q. まずは卒業後の進路について教えてください。

愛知芸術高等専修学校(通称:愛芸)/名古屋キャンパスのマンガ・イラストコースを、今年2025年3月に卒業後、現在は似顔絵をはじめ、幅広くデザイン、イラスト制作を取り扱っているデザイン会社「ark DESIGN(株式会社アークデザイン)」に就職しました。

まだ入社して1ヶ月も経っていませんが、愛芸で学んだAdobeソフトやイラストの技術を活かしながら、さらに専門的なソフトの活用法などを学び、より仕事として必要とされる部分での技術を高めることに励んでいます。

学生時代の作品制作の多くは完成して終わりでした。デザイン会社に就職してからは、制作した作品が実際に使用されることへの責任感を持つようになりました。商品としての作品に携わるようになってからは、常にお客様のことを考えて作品制作に取り組んでおり、やりがいを感じています。

Q. 愛知芸術高等専修学校を選んでよかったと思うことを教えてください。

愛芸では、ほかではなかなかできない特別な経験をたくさんさせてもらいました。愛芸に入学していなければ、こんなに成長できなかったですし、コンテストに出品して入賞することもなかったと思います。充実した授業内容と、先生方の的確なアドバイスのおかげで、今があると思っています。

3年生で進路で迷った際も、愛芸の先生方は本当に親身になって支えてくれました。なんなら私たち生徒よりも意気込みがすごい!?と思ったほど(笑)。大学の進学情報から就職情報まで、一緒になって情報を集めてくれたり、いつでも相談に乗ってくれました。自分のことのように大切に考えてくれた先生方には、本当に感謝しています。

愛芸に在学中だった頃のKさん
愛芸に在学中だった頃のKさん

Q. それでは成長過程についてお聞きしていきます、絵を描きはじめたきっかけを教えてください。

ものごころついた頃から、絵を描くのが大好きでした。小学生のときは絵本作家など、何か絵を描くことを仕事にしてみたいと思っていました。そんな小学校3年生のときに、友達に教えてもらい、ゲーム作品がもとになった個人制作のアニメーションをYouTubeで見たのですが、個人の方が自主作成した絵が動いてる!すごい!と、衝撃を受けました。それまで絵を仕事にしてみたいと思っていたのですが、「してみたい」から「したい」に気持ちを変えてくれたのはこのアニメーションがきっかけでした。

中学生になって進路を考える際はとても悩みました。普通科の高校へ行き、その後専門学校へ通うルートなど、いろいろな選択肢を考えて学校を探していました。でもなかなかピントくるところがなかったんです。そんななか、何気なく足を運んだ愛知芸術高等専修学校の体験入学で、自分に合っているのはここだ!って思ったんです。

体験入学で実際に絵を教えてもらって描いたのですが、たくさんの人と一緒に作品に熱中しているそんな空間が、自分にとってすごく居心地がよかったんです。教室の壁には先輩方の作品が飾ってあったりと、とにかく雰囲気がよく、ここに入りたいなと思って入学しました。

Q. 実際に愛知芸術高等専修学校に入学しての印象は?好きな授業は何ですか?

入学後も本当に体験入学のときに感じたイメージと同じで、授業中は自分の作品に集中して取り組むことができ、毎日がとても楽しかったです。
どの授業も好きですが、絵の基礎を学んだ「デッサン」の授業と、デジタルソフトやツールの使い方を学んだ「デジタルイラスト」の授業、それから結構自由に作品を制作できる「作品制作」の3つの授業は、とくに印象に残っています。その他、画材の使い方など作品制作の土台となるようなことを学んだ「アナログイラスト」や、漫画を描く道具の使い方や描き方を学んだ「漫画テクニック」の授業などもとても楽しく勉強になりました。

Q. 1年次の作品や学んだことを教えてください。

まず「デッサン」については、中学の美術の授業で少しかじったくらいでほとんどはじめてでした。1年生の時は鉛筆の使い方に慣れていこうという基本中の基本からスタート。難しいモチーフなどは描かず、自分の手などを描きました。デッサンは影と光で表現するため、輪郭線を強調してはいけないのですが、以下の手のデッサンは輪郭線が目立っていて、その点がまだ全然上手くできていませんでした。

1年次の手のデッサン
1年次の手のデッサン

「デジタルイラスト」の授業では、1年次は主にソフトはPhotoshopを使用して、ちょっとした加工の仕方やツールの使い方を学びました。いままで個人的にibisPaintは使ったことがあったのですが、プロ仕様のソフトを使うことになり、かなりてこずりました(笑)。Photoshopは様々な編集など、本当にできることが多く、試行錯誤しながら描いてみたのが以下の女の子の作品です。

1年次のデジタルイラスト作品
1年次のデジタルイラスト作品

「作品制作」は、様々な作品に挑戦できる授業でした。先生から課題をもらい、アナログやデジタルで、自由な発想で作品を制作できます。いろんな画材を試してみたり、コンテストに応募する作品を制作したりと、楽しい授業でした。

1年生のとき、学内の発表会「芸術発表会(アートコレクション)」で展示する作品を制作したのですが、その際は課題がアナログ画材と決まっていました。私はアナログ画材のなかで1番触れた回数の多い水彩絵の具を選択。以下の渡り鳥と少女の絵を描きましたが、人物のデッサンが全然上手く描けていない時期で、なおかつ構図もあまり考えていなかったので、思い浮かんだものをとりあえず描くというようなかんじでした(汗)。今見返してみても、見栄えがしない絵になってしまったと思っています。

1年次の作品「渡り鳥と少女」
1年次の作品「渡り鳥と少女」

Q. 2年次は作品にどんな成長がでましたか?

2年生の「デッサン」では、写真を見ながらはじめてデッサンで人物画を描きました。人物やキャラクターは、小学生の頃からイラストで描いていたので、物のデッサンよりも描きやすかったです。先生が的確なアドバイスをしてくれるので、少しずつ成長でき、以下のアインシュタインの模写は、そこまで悩まずに描くことができました。

2年次のデッサン「アインシュタインの模写」
2年次のデッサン「アインシュタインの模写」

「デジタルイラスト」の授業では、2年生になるとPhotoshopに加えて、IllustratorとCLIP STUDIO PAINTも学びます。以下の作品は、北海道芸術高等学校と企業がコラボして開催した、初音ミク Happy 16th Birthdayコラボ企画「高校生 クリエイティブコンテスト」のイラスト部門に応募した作品です。入賞はできませんでしたが、これを堺にデジタルに慣れはじめたのと、自分は暖かい色合いが好きなんだと知るきっかけになった作品なので、すごく気に入っています。

2年次のデジタルイラスト作品
2年次のデジタルイラスト作品

2年生の「作品制作」では、授業のなかで「JAMCA PRIZE 2023」の絵画・イラストコンテスト(高校・専門学校・大学生部門)にへ出品する作品を制作しました。テーマは「理想のクルマや未来のクルマ」で、私は持ち前の親父ギャグを活かして、ギャグでバス(bus)とお風呂(bath)をかけあわせて、レトロな雰囲気漂う「バス銭湯」という作品を制作。この作品で、はじめて学外コンテストで入賞し、グランプリを獲得しました。とても嬉しかったです。画力だけでなく発想力で勝負するコンテストと先生も言っていたので、発想が評価されたのだと思います。

2年次のコンテスト応募作品「バス銭湯」
2年次のコンテスト応募作品「バス銭湯」

学内および学外コンテストに出品する作品は、主に作品制作の授業で作っています。2年生のときに作成したカレンダーイラストは、学内コンテストで選ばれ、体験入学に来た子に配られるグッズになりました。2年生の頃から力がつきはじめ、だんだんと調子が乗ってきたなと感じるようになったのを覚えています。

また、芸術発表会(アートコレクション)は、1年生のときはアナログの平面作品のみというルールでしたが、2年生は完全に自由に作品をつくってよかったので、新しいことをしたいと思い、日本の伝統工芸「絞り染め」に挑戦しました。自分で柄をデザインして、色を決めて、染める作業も自分自身で行いました。地元に絞り染めが有名な場所があり、そこに足を運んで体験してみたり、祖父が染め物屋をやっているので、いろいろ相談させてもらいました。これまでになく大掛かりな取り組みとなり、とてもやりがいがありました!

2年次に制作した絞り染め作品
2年次に制作した絞り染め作品

Q. 3年次は作品にどんな成長がでましたか?

3年生の「デッサン」の授業では、石膏像を描きました。普通の人物を描くより難しく、石膏の質感を出したりするのがとても大変だったのを覚えています。でも、先生のアドバイスで描くたびに上達していくのが実感できました。デッサンの授業は、実際に大学受験でデッサンを体験し、合格した経験のある方が講師なので、的確な指導はもちろん、受験のときの話をしてくれたりと、とても為になる授業でした。

3年次のデッサン「ボルゲーゼのマルス胸像」
3年次のデッサン「ボルゲーゼのマルス胸像」

3年次の「デジタルイラスト」では、白黒作品を制作したのが印象に残っています。デジタルで漫画イラストを描く課題で、いままで漫画はアナログで描いていたのですごく困惑したのですが、先生が使い方をやさしく教えてくれて結構すぐに慣れることができました。色がないことは、カラーより難しかったですが、白黒でどれくらい表現できるかの学びになりました。だんだんと線の描き方に慣れてきて、自分の好きなザクザクした質感もデジタルで出せるようになりました。アナログイラストと違って、例えば輝く光を強くするのを機能で調整できたりするので、デジタルイラストを学んでから表現の幅が広がり、できることが増えていくのがとても楽しかったです。

3年次のデジタル漫画イラスト
3年次のデジタル漫画イラスト

3年次の「作品制作」で作った作品は、芸術発表会(アートコレクション)の立ち絵(看板やDMに使われるイラスト)に採用されました。この時は1人につき学校のコースから2つ選び、生徒のイラストを描くという課題でした。私はマンガ・イラストコースとファッション・ビューティコースを選び、生き生きとしたポーズのイラストを意識して制作しました。人物のデッサンが上手く描けるようになってきた頃で、自分らしい色の選び方や色の表現にも慣れてきていましたし、物の質感も自分が思うように描けるようになったと感じていました。

3年次のデジタルイラスト作品
3年次のデジタルイラスト作品

また、愛芸と近くの神社がコラボしたポスターを描いたのですが、こちらも採用になりました。作品制作の授業では、コンテストをはじめ様々なことに挑戦するので、本当にたくさんの身になる経験をさせてもらいました。

愛芸×神社のポスター
愛芸×神社のポスター

そのほか、3年生になると新しく3DCGやアニメーションの授業もありました。以下の作品は世界観を感じられ、思わず見入ってしまうような映像を目指して制作。使用ソフトはCLIP STUDIO PAINTとAdobe Premiere Proです。絵を描くことを仕事にしたいと思ったきかっけがアニメーションなので、本当にとても楽しんで制作ができました。今後につながるような作品ができたと思っています。

3年次に作成したアニメーション「牛若丸」
3年次に作成したアニメーション「牛若丸」

Q. 3年間でものすごく成長されていますね!今後の夢など展望を教えてください。

はい、クリエイティブな分野を仕事にするという夢を叶えた今、さらなる目標は、イラスト分野のみならず、愛芸の授業で学んだアニメーションの技術をより伸ばしていくということです。

これまで就職先のアークデザインでは映像制作は行っていませんでしたが、現在は新たな取り組みとしてアニメーション制作を始動し、映像分野での技術を会社として取り入れようとしています。そこで、愛芸で培った知識や技術を活かしつつ、会社と共に成長していきたいと思っています。

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